パワーメーターの使い方がはじめてわかった(遅!)
パワーメーター、ガーミン・ベクターを使い始めて2年と9ヶ月が経過しようとしている。ベクターのインストールは2014年の年末。そして初のFTPの計測は2015年1月3日に行なっているらしい。
ベクターをインストールしてからは当然のごとく、いわゆるパワー・トレーニングを意識してやってきた。FTPをもとに、鍛えたい部分に刺激を与える、というヤツ。
これはこれで、初っ端の205WとかのFTPからはじまり、今では275Wにぶじせいちょう?している風である。果たして追い込み方が身についてきたのか、パワーが本当に身についてきたのかはわからないが(笑)。
とはいえ、パワー・トレーニングという点でいうと、ベクターを使って成果は得られているのではないかと思う。
しかし、パワーメーターのいいところはそれだけではないはず。実走トレーニングやレースでのデータからわかることも多いだろうし、ペーシングにも役に立つはずである。
ここのところの四川通いのなかで、この「ペーシング」に役に立つ、という点で実感できたことがあるので記録として残しておきたい。
一方、残念ながら、実走データやレースデータを読み解いて役に立てるところまでは、まだよくわかっていないのが現実。そちらの面でも有効に活用できるようにしたいものだ。
で、ペーシングに関わって。
この秋、早めにシーズン仕舞いして、ベーストレーニングに切り替えた。そのモチベーションアップのために四川でのタイムアップを目標に何度か四川ダムまで通っている。その時のルーティンとして、自宅から10分ほどのところにあるセグメントを通り、一度心拍を上げてから四川へ向かうことが多い。いずれ、ここでもPR更新を目指したいのだが、今のところウォーミングアップの一環なのでフルアタックは行なっていないし、ここでいろんな走り方を試している。インターバル的に走ったり、ギア限定で回転重視、またはトルク重視で走ったり・・・。
そんな中、あらためて(ホントに「あらためて」という感じ、むしろいまさら感もある)、イーブン・ペースを意識してこのセグメントのスタートからゴールまで走ってみた。
ちなみに今回のタイムは、この区間でのPBの5秒遅れだった。この後四川を走るためのウォーミングアップという位置づけだったため、出し切るという意識はないなかで。
走行直後の感じとしてはそれなりにキツさはあったが、途中の段階で、まだもう少しイケるという感覚はあったので、いずれPR更新は確実にできるだろう、という自信を得た一本だった。
さて、このセグメントは以下の画像のように、途中で少し平坦に近い部分を含む、平均勾配3%、距離4.7kmほどのコースとなる。この画像では、このセグメントでのPB時の走りと今回の走りを比較もしている。
①スタートから概ね一定勾配の区間
②少し斜度が上がる区間
③平坦区間
④斜度が戻る区間
⑤ちょっとだけ斜度が緩む区間(平坦?)
⑥斜度が戻る区間
こんな区間を経てゴールの頂上となる。
何度か走っていてポイントになるのは③と⑤。
これはここだけの話ではなく、四川をはじめ、斜度の変化があるところであればどこでも言えることだと思う。ここのような完全な平坦でなくても、ただ斜度がゆるくなるポイントがあればそこが該当する。
これらのポイント、実際走っているとどうなるのかというと、出力がキープできず落ち込んでしまう。適正に変速すればそれは防げるのだが、意識せずに通過すると、ついつい楽してしまう。脚にかかる負荷が少なくなり、当然ケイデンスは上がるも、出力をキープするほどまでわざわざ回さずに済ましてしまっていたのだった。
それが、下の画像(PB時のグラフ)。
ちょうど線が入っているところが③の平坦区間に入る部分。これを見ると、ここ以降でケはイデンスが少し上がっていきながらも出力は落ち込んでいく。速度は速くはなっているがそう大きく加速はしていない。という状態になっている。明らかに楽している。二つのライドを比較した冒頭の図でも、ここの速度の伸びの差でいったん前後が入れ替わっている。その直前の②少し斜度が上がる区間ではじめガンバって、後半落ちていった後の今平坦区間ということもあり、「楽」しないとキツかったのだろう。
一方、このセグメントをイーブン・ペースで走った今回のデータが以下。
PB時のグラフと同じ場所は、こちらのグラフの線のちょっと手前。変速等の影響か、少しだけ出力が抜けている部分あたりになる。こちらではここ以降でケイデンスも維持、出力も下がっていない。一方、スピードは直前よりも上がっているのが見てとりやすい。直前の②の区間でも一定の出力とケイデンスをキープしている。
グラフ全体を見てもわかるが、PB時のものは出力及びケイデンスの上下が激しい。
一方、今回のグラフは意図的に出力とケイデンスを保てている感じ。
走った感じ、、、といってもPB時の感覚はすでに薄れてしまっているので、ここ最近で出力とケイデンスの上げ下げが大きい走り方をした時と比べるが、今回は明らかにカラダへの負担少なく走りきることができた感じがある。走っている途中の感覚としては、キツイのは確かだがペース維持に意識を集中することで、いつの間にか距離が過ぎ去っていったという感じ。
さらに、ペースの上がり下がりが大きいと、ケイデンスの変化に出てくる。そしてケイデンスを変えるのってけっこう疲れるな、ということにあらためて気づいた。はじめはそうでもないが、特に後半が近くなると、意図的にギアを軽くして回していこうとしたり、意図的に重くしてトルクでいこうとしたりすると、かなりの労力をしいられることに気づいた。
やはりイーブン・ペースが一番なのだろう。
ここできなるのが、イーブン・ペースとは? ということである。
これまでの意識だと、パワーメーターを使った場合、出力のみ一定に保つことだと狭く考えていた。しかしそれだと、上記のように意図的にギアを軽くして回したり、意図的に重くしてトルクでいこうとしたりとケイデンスの変化も含まれるということになる。筋肉を使い分けて疲れを分散させるという時には有効かもしれないが、これもケイデンスの変化の幅が大きいと脚にくるのではないかと思われる。
なので、私にとってのイーブン・ペースの定義は、
「ケイデンスと出力を一定にできるギアを選びながら走ること」ということになる。
いまさら、、、という感はあるが、、、そう、いまさら気づいたことなのでしょうがない。
もちろん、ギア比の関係もあり、多少の上下は当然出る。筋肉の使い分けもその程度での範囲で(私にとっては)ということになる。
ただ、これもこのセグメントのように短い区間での話。もっと距離が伸びたりもっと斜度の変化があると状況は変わってくるだろう。それでも、これまで出力とケイデンスの組み合わせでペースを考えることをしてこなかった私にとっては、小さくても大きくなる可能性を含む一歩だと言える。このイーブン・ペースの感覚はぜひ身につけておきたい。
そして、私には縁のない話ではあるが、ロードレースにおける「攻撃」で脚を使わせるのに、ペース変化が用いられるというのも感覚的に納得した次第である。